2014年12月25日木曜日

【サンタプロジェクトのご報告】田老の現状とケーキ

















「サンタプロジェクト」は仮設住宅の世帯数にあわせてケーキを用意することにしています。
秋の初めに、今年はどのくらいの数が必要か社会福祉協議会の方に相談しました。
「登録世帯数は350世帯だけれど、空き家にしている人もいる」とのこと。
アレルギーや食事制限のある方のことも考え、相談の上で330個のケーキを用意しました。

集会所での配布および個別配達ができたのは250個でした。

ということは、震災後4回目のクリスマスを迎えた今、
まだ少なくとも250世帯の方は田老地区の仮設におられます。
お部屋から出たくても出られない方もいるはず。その数はもっと多いでしょう。

イベントの2日目は、高台移転先の抽選日でした。
来年の秋に受け渡される高台の区画がどこになるか決まる大切な日。
抽選に行った方の話では、その日に希望者160戸の全部の配置が決まったそうです。
公営住宅の抽選はまた別にあります。

海の見える町には、商店と警察署なども入る新しい町のために
大きな山の斜面が切り崩されていました。

来年の秋に土地が引き渡されたとして、そこから家を建てなければなりません。
資金も要ります。
「来年のクリスマスもここにいるだろうね」とつぶやくお母さんがいました。

別の場所ではこのような声。
「また来年も来るのかい?」

「いつまで来てくれんの?」

そして、多くの方に「『いつも』ありがとう」と言われました。
去年は聞かれなかった言葉でした。

続けることが「いつも」という認識になるのだな、
次への期待もあるのだろうな、と考え深かったです。

去年よりも大人数だったことや、2日間行えたこともあったからでしょう。
少なくとも接した方々からは「迎えられている」という実感がありました。
2日連続で足を運んでくださったり、
集会所をはじごされていた方がいらっしゃいました。

少し個人的な話になります。

震災時、わたしは東京にいましたが、家族は3人波にさらわれました。
亡くなった私の両親や祖母のことを、町のみなさんはよく知っています。
「たいへんだったね」と、自分のことは棚に上げて私を心配してきます。
保育所や小中学校の同級生のお母さんたちがたくさん声をかけてくれました。
みんなが私の親代わり、まるまるこの町に愛されていると思いました。

元気な私の姿を今回故郷に見せられたこと、
こうして大勢の仲間と帰省できたことが、とてもとてもうれしかったです。
うれしすぎて泣いてばかりでした。

自己満足かもしれない。
でも、それに賛同してくれる人がいて、よろこんでくれる人がいる。
だから、これでいいんだと自分を信じることができました。

話はもどって、配布後のケーキのことを少し報告します。
イベントの終わりに、宮古社会福祉協議会田老事務所、
仮設住宅施設内の「グリンピア三陸みやこ」、
サポートセンターへサンタがお届けしました。
また、一部のケーキはサンタが持ち帰りました。

私は、持ち帰ったケーキを留学生たちにひと口ずつふるまいました。
(わたしは都内で日本語教師をしています)
同世代の岩手の学生が作ったケーキの味、震災後の東北での活動、
彼らは国に帰っても忘れないと思います。
アメリカからの留学生は授業後にわざわざ
「おいしかったです」と伝えに来てくれました。

このようなエネルギーの循環が、330のケーキにあったことでしょう。

改めて、作ってくれたみなさんにお礼を。
ありがとうございました。おいしいケーキでした。

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